イソップ物語の「アリとキリギリス」
の話はご存知ですよね。
要約すると。
「夏の暑いさなか、アリはせっせと食べ物を集め、キリギリスは日中昼寝をして涼しい夕方になると
バイオリンを弾き舞踏会を楽しんでいました。
しかし冬になると、アリは暖かい部屋で夏の間に集めた食物を食べ、キリギリスはひもじい思いをして、
アリに食物を懇願し恵んでもらいました。」
というものです。
皆さんはアリさんですか、それともキリギリスさんですか?
もう一度聞きます。あなたは今を楽しみますか?
それとも豊かな老後に備えますか?
しかし、こんなエピソードがあります。
ドイツに、ある兄弟がいました。
兄は勤倹実直で、ひたすら貯金に励んでいました。
一方、弟は酒飲みのグータラで、ろくに働きもしないで酒ばかり飲んでいました。
まさに、典型的なアリとキリギリスですね。
ところが第一次世界大戦後、ドイツは強烈なインフレに襲われました。
なにしろパン一つ買うのに、スーツケース一箱分の札束が必要だったというくらいです。
結局、兄が貯めていた貯金は紙屑となり、弟が飲んでいた酒ビンの方が価値があがったという話です。
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恐ろしい話ですね。
一般には、キリギリスが良い思いをするなんてことは無いのです。
成功する人は勤勉であり、金持ちに浪費家はいません。
従って、上の事例は特異な状況が生んだ異例中の異例なのです。
しかし、世の中、何が起こるか分かりません。
今の日本政府にどれだけ借金があるかご存知ですか?
なんと税収の4割以上は借金の利子と返済にあてられているのです。
現状が続くと、今後この割合は増える一方です。
この危機的状況を脱するためには、超インフレを起こすしかないのです。
次は、アリさんが躓いた例です。
私の後輩にI君というのがいます。
彼は灯台(頭狂大学ともいう)出身のエリートなのですが、物事を深く考えないというか、単細胞というか、
脊髄反射だけで行動しているような変わった人物なのです。
それはさておき、彼は入社そうそう、趣味は「貯金です」と宣言し、給料の半分近くを銀行の定期に貯金
していました。若いのに立派な心構えです。
しかし、お金がないといっては飲み会を断り、社員旅行も欠席する始末。
とくに趣味もなく、ただただ、ひたすら貯金に励んでいました。
で、ある昼休みのこと
私:「毎月10万も貯金してんだって?」
I君:「はぁ」
私:「何のためにそんなに貯金してんの?」
I君:「別に何が欲しいというのではありません。ただ、お金が増えるのが楽しいのです」
私:「お金は使わなきゃ、単なる数字だぞ。若いうちに色々やることがあるだろう」
I君:「いいんです。お金が減るのが悲しいのです。ただそれだけです」
そんな彼も、数年後には、お人形さんみたいに可愛い子とお見合い結婚しました。
ところが、
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奥様は浪費家だったのです。
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アリさんも、豊かな老後を前にして環境が変わったり、人に踏み潰されたりして大変ですね。
尊徳さんは、若いうちにいろいろ経験せずして、
豊かな老後など有りえないと考えています。
酸いも甘いも経験するからこそ、人生に深みが生まれ、いぶし銀のような輝きがでるのです。
そこで、
勤倹・貯蓄 → 自己投資(旅行や趣味に投じること)
というアリでもキリギリスでもない、その中間のアリギリス
(アリの様に働き、キリギリスのように人生を楽しむ)が良いと考えています。
今できることはどんどんチャレンジし、若いうちに色々な経験をしましょう。